2011年5月2日月曜日

石巻「希望の湯」プロジェクトの報告

HARUでは、避難所となっている石巻市立湊(みなと)小学校での石巻「希望の湯」プロジェクトをお手伝いしています。S. H. さんから避難所の状況と石巻「希望の湯」プロジェクトの紹介、学生がお手伝いしている内容についての活動報告をいただきましたので、掲載させていただきます。

・避難所の状況(4/29時点)
湊小学校は津波で被害に遭った人々の避難所となっています。震災から1カ月半経ちましたが、未だ200名以上が暮らしており、帰るにも帰る家がない人々が大勢います。教室の中で十数名ずつ分かれて暮らしています。

湊小学校では上水道、下水道、および電気が復活し、震災直後に比べ生活しやすくなりました。昼間仕事や家の片づけに出掛ける人もいます。朝、昼、夕、ボランティアや自衛隊の炊き出しが行われ、物資支援も続いています。

プールに沈んだ車
津波は小学校の1階天井まで届き、1週間以上水が引かなかったそうです。1階から2階へ上る階段の壁に水位の痕が段階的に残っています。震災直後は道路も他も、車や船、倒壊した家のがれきで埋め尽くされ、車が全く入れない状態だったそうです。私たちが湊小に来た時には車も入れるようになっており「ずっと良くなった」そうです。しかし未だ私には見る光景に、何が起こったんだか想像つきません。なぜプールに車が入っているの?お墓の上に車があるの?家の一階がことごとく空っぽなの?と。




・「希望の湯」設営、運営
設置は4月中旬に3日間かけて行われ、4/17に試運転、4/19から営業を開始しました。運営はNGO「日本イラク医療支援ネットワーク(JIM-NET)」が引き受けており、現地で「希望の湯」のリーダーをされている西村陽子さんのもとで私たちは働いています。またボイラーの運転と技術支援のため、仕事の合間を縫ってグリーンエナジーの社員さんが入れ換わり立ち替わり毎晩、少なくとも一人常駐しています。総勢約10名、午前8時から午後8時まで、楽しくお仕事をしています。

石巻市湊小学校の所在:http://maps.google.co.jp/maps?hl=ja&q=%22%E7%9F%B3%E5%B7%BB%E5%B8%82%E6%B9%8A%E5%B0%8F%E5%AD%A6%E6%A0%A1%22&um=1&ie=UTF-8&sa=N&tab=wl


・営業
「希望の湯」は正午から午後8時まで営業しており、毎日男女合わせ130人、多い日には250人以上の方が利用されています。午後8時まで営業していますので、日中仕事のある人や家の片づけに出掛ける人も入浴できるようになっています。「だれでも」のコンセプトのもと、湊小学校で暮らしている人の他に、ご近所の人や他の避難所の人、またボランティアにも開放しています。もちろん、無料です。

正午の開店に合わせるため、8時30分にボイラーに火入れし、3時間かけて男湯女湯計9トンの水を沸かします。その間、風呂場の片づけや掃除をします。

営業中は順番に番頭をして、来場者に入浴方法の説明や入浴状況の監視をします。湯をきれいに保つため入る前に体を洗ってもらったり、水道からの給水能力に合わせ節水を呼びかけたり、湯量、湯加減を聞いたり。。。石巻の人々と接する貴重な時間です。

入浴される皆さんはお風呂を設置してくれたことに本当に感謝されており、全員「ありがとう」と言ってくれます。私たちはただお手伝いしているだけですから、この声を、設置して下さった技師の人や機材を提供して下さった方々に直接お届けしたいです。私たちのしていることが石巻の人々の原動力になれば、とてもうれしいです。
「希望の湯」ボイラー(朝田商会製, 火力10万kcal/h)
・設備の概要
「希望の湯」は湊小学校のグランドに設置されており、大きなイベントテントの中に幼稚園のプールを2個、片方を男湯、もう片方を女湯として置いています。テント内は玄関、脱衣所、洗い場、浴槽に分かれており、シャワーは男湯4基、女湯5基ずつ完備しています。ブルーシートの上にスノコを置いているのですが、排水は抜群です。外にボイラーと熱交換機があり、ボイラーで熱した熱湯でお風呂の水を再度温めており、制御盤や照明の電気は発電機から取っています。衛生面ではろ過機による浮遊物除去と塩素剤による消毒、さらに週一回の湯の入れ替えと毎日の掃除により、清潔を保っています。ボイラーや発電機の燃料を含め、この施設の機械類は全てグリーンエナジーをはじめとする会社さんが用意されたもので、その周到ぶりと完成度の高さには舌を巻くばかりです。
浴槽
「希望の湯」外観

利用者のことを最大限考えられたお風呂ですので、評判もなかなか良いです。例えば、「一度に大勢入れる」「スノコが乾いている」「脱衣所がある」「シャワーがあり頭が洗える」、等々。普段の生活では当り前のことですが、被災地ではそうもいかない。だから皆さん、このお風呂にとても感謝しているのだと思います。


・その他
被災地では先生や場所が確保できず小中学生は勉強がなかなかできないそうで、昨日と今日は私たちが「先生」となって子供たちに勉強を教えてあげました。子供たちもプリントを一生懸命解いており、このように日常に一歩一歩近づいていけたらいいな、と思いました。

洗濯機を設置したときも小学校で暮らしている方から「ありがとう」と言っていただきました。避難者200人で3台ですから効果のほどは分かりません。でも、今までずっと着の身着のまま、その後使い捨てか手洗いだったそうなので、数台の洗濯機でもないより良い、のかもしれないです。
「希望の湯」リーダーの西村さん(左から2人目)と東北大生
以上、「石巻 希望の湯」プロジェクトにおける私たち東北大学生の活動報告です。

今回の活動で多くの人と接し大切なことをたくさん教えてもらいました。自分のポテンシャルをさらに高めるため、残りの大学生活を頑張ろうと、あらためて思いました。

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東北大学地域復興プロジェクト"HARU"は、
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東北大学の公認をいただいており、今後も地域に寄り添った活動を続けていく予定です。